未来を照らす『銚子灯台コーラ 』作り手の方々へインタビュー!

 先日の記事では、昨年6月に銚子灯台コーラのオープニングセレモニーに参加するため、銚子を訪れた際の様子をご紹介致しました。そして今回は、銚子灯台コーラの製造元である株式会社浜鈴総芸の鈴木浩之氏チョウシ・チアーズ株式会社の佐久間快枝氏にインタビューを行い、その誕生までの経緯と「100年後の町に希望の光を届けたい」という熱い想いを語って頂きました。

【インタビューを行った方々】

鈴木浩之(すずき・ひろゆき)

株式会社浜鈴総芸 代表取締役。地元銚子を中心にハーブ園運営、造園、貸し植木、門松生産など植物関連の事業を展開。また8年前から父が始めた石垣島農場と連携しハーブを使った商品を開発。銚子灯台コーラで使用するオーガニック素材の供給も担っている。銚子市出身。

佐久間快枝(さくま・よしえ)

チョウシ・チアーズ株式会社 代表取締役。あるモノつないで、ないコトつくるをコンセプトに、地域コンテンツプロデュース。銚子ビール事業を中心に展開中。銚子市出身。

 お忙しい中でインタビューを快くお引き受け頂いた二人に、この場をお借り致しまして改めてお礼申し上げます。また、今回鈴木氏と佐久間氏には別々にインタビューを行い、当記事において統合させて頂いております。

 ※前回の記事の続きとなりますので、以下の記事をご覧になられてから当記事を読まれることをお勧め致します。

銚子灯台コーラ開発までの経緯と、素材への拘り

――はじめに、銚子灯台コーラ発売一周年おめでとうございます。飲まれた方々の評判や感想などはいかがですか?

佐久間:ありがとうございます。おかげさまで、飲んで頂いた方々には非常に好評です。私のところは特にビール屋さんなので、今まで小さい子供が飲める物は少なかったのですが、銚子灯台コーラを開発したことによって、例えば親子でいらっしゃった場合には、大人はビールで子供はコーラという形で、以前より幅広い年齢層の方々にクラフトドリンクを楽しんで頂けるようになりました。

鈴木:銚子ビールさんのクラフトビールは非常に美味しいのですが、ビールなので勿論大人しか飲めなかったわけです。また、大人であっても車でいらっしゃった方は飲むことができませんでした。しかし銚子灯台コーラであればどんな方でも飲むことができます。

 以前、コーラを飲むことをお医者さんに止められていて、コーラを今まで一度も飲んだことがない方がいらっしゃったことがありました。しかしよくよく伺ったら甜菜糖は問題ないということでした。銚子灯台コーラは甜菜糖のみを使用しているため、「このコーラは大丈夫ですよ」とお伝えすると、その方は購入してくださいました。つまりその方にとっての初めてのコーラは銚子灯台コーラなんですよ。それだけでも作って良かったなあ、としみじみ思いました。

チョウシ・チアーズ株式会社の販売するクラフトビールの数々。左から、2017年より販売している「銚子エール」。銚子灯台コーラと同日に販売を開始した「One for All SMASH」。バリスタの安藤賀一氏(後述しています)が開発したコーヒービール「Black Eye STOUT」

――とても多くの方々に受け入れられているのですね。ソフトドリンクであれば他にも色々な種類の飲み物があると思うのですが、その中で「コーラ」を開発しようと思われたきっかけは何ですか?

鈴木:銚子ビールさんの方で、元々クラフトジンジャエールを販売されていました。千葉県の八街市は生姜が特産なので、そちらの生姜を使用しているそうなんですね。そのクラフトジンジャエールを作っている段階で「これコーラっぽくない?」という話になったそうです。そして「コーラってもしかしたら作れるんじゃない?」という流れになり、その開発に僕も誘われました。

 「クラフトコーラ」というものは私も数年前から知ってはいたのですが、コーラを手作りするということは、僕の中ではずっと不可能なことだと思っていました。しかし、そうではないのかもしれないと考えが変わり、クラフトコーラ作りに挑戦してみよう、という想いに繋がりました。

佐久間:最初、「スパイスを沢山使ったを飲み物を作りたい」と考えたんですね。鈴木さんのところがハーブ園をやられていますし、それらを使用すればより地域色の強いドリンクが作れるのではないかと思いました。そして、スパイスを沢山使うものということで、やはりコーラかなと。コーラはみんなが好きですし、その時も結構クラフトコーラというのが世に出てきていて皆も注目していたので、クラフトコーラをやろうと思いました。

 開発にあたり、弊社の醸造士である富岡陸也さんと、バリスタの安藤賀一さん(※現在はフリーランスとして独立)が中心となりました。安藤さんはスターバックスコーヒージャパンに勤めていた頃に、コーヒーのスペシャリストだけが着用できる”ブラックエプロン“を取得しており、スパイス類やコーヒー豆に特に詳しかったのです。

 鈴木さんはハーブガーデンポケットを実験室のように貸してくださって、二人は日夜銚子灯台コーラの開発に試行錯誤していました。私と鈴木さんはそれを外からサポートするのが一番メインの役割でした。私は商標を取得したり、本当にバックヤードというか、バックオフィスの業務で携わった形です。

八街生姜を使用した犬吠ジンジャーエール。生姜感がかなりガツンとくるスパイシーな味わいで飲みごたえ充分。

――銚子灯台コーラを開発するにあたり、こだわった点を教えてください。

佐久間:まずは全てオーガニックのものを使用している点ですね。あとは銚子のドリンクということもあり、銚子の材料も使用したいという想いから、銚子産の「醤(ひしお)」を塩味で使用しています。あとはコーラの色合いを二層にして、銚子の地層と空を表現するという、そういった見た目でも皆さんを驚かせるということですね。罪悪感のないコーラというコンセプトで、体に優しいビーガンコーラということも目指しました。

鈴木:僕も子供の頃に親に「コーラをあんまり飲みすぎると体に悪い」と言われたことがあります。糖分がすごく多いので体への負担が大きいとか、「骨が溶ける」なんて噂になった時代もあったんですけれども笑

 そんなこともあって、以前コーラは子供に「飲んでもいいよ」って気軽に言える飲み物じゃないイメージがすごく強かったんですね。銚子灯台コーラでは、材料である素材やスパイスにはオーガニックのものを使用するのは勿論、甜菜糖を使うことによって子供やビーガンの方にまで安心して飲んで頂けるコーラとなりました。

当記事のサムネイルにもなっている銚子灯台コーラの画像。銚子の地層と空を表現した液色と、グラスの灯台の絵が重なって唯一無二の情景を醸し出している。

――なるべく銚子産のものを使用したいという想いはありますか?

 鈴木:ひしおが代表例ですが、やはりそういった想いはあります。私はハーブ屋さんなのでスパイスやハーブ類もこだわりたいところです。ただ、じゃあクローブであるとかシナモンであるとかカルダモンであるとか、それらを自前で用意できるかという話になると、残念ながらそれはちょっと難しい話になってしまいます。

 ちなみにうちには従業員にスリランカ出身の方がおり、僕も前に一度行ったことがあります。やはり向こうはスパイス大国で、シナモンだけでも様々な種類があります。一番感動したのはオレンジっぽい味わいですっきりした香りを持つシナモンですね。そういった経緯もあって、スパイス類の調達は彼の友人のルートを辿って行っています。

 一番のネックだったのがレモンとライムで、ノンワックスや有機栽培のものを入手するのが難しかったんですね。それでも試作の段階ではうちのハーブ園で採れたレモンや、親戚がごく少量で作っているものを使用していました。ただ、やはりビジネスとして2店舗、3店舗で出すとなると、それではレモンが足りないということになりました。現在は、千葉県鴨川産の無農薬レモンを使用しています。

  広島とか瀬戸内産のレモンも考えたのですが、やはり千葉県産のものを使用したいと思いました。ただ最終的には銚子産であることがベストだと思っているので、園内のレモンの木を今増やしています。最終的には自家栽培の無農薬レモンで全て賄えれば良いなと思っています。

鈴木氏を取材する際に訪れたハーブガーデン・ポケットの園内の様子。ところ狭しと数々の植物が並ぶ。入口近くにあるツリーハウスは来園した人々を魅了する。

重要な要素「バタフライピー」と「ひしお」

――銚子灯台コーラの大きな特徴として、鮮やかな青い液色が挙げられますが、バタフライピーを使用しようと思った理由は何ですか?

佐久間:これはもう完全に鈴木さんからの提案ですね。青くするならバタフライピーが最適です。

鈴木:開発するにあたり、銚子灯台コーラで銚子をどう表現するか考えました。単に名前を冠しているよって言ってしまえれば簡単なのですが、やはり銚子の君ヶ浜から見た犬吠埼の灯台の絵をコーラに閉じ込めたかったという想いがありました。銚子灯台コーラという名前で見た目は普通のコーラでは面白く無いだろうと思ったんです。うちはハーブ屋なので、ピンときたのはバタフライピーを使った青いコーラというイメージでした。

 バタフライピーの調達に関しては、父が石垣島で農場をやっているのですが、そこで今バタフライピーを作っているんです。メーカーさんからバタフライピーを仕入れることもできるのですが、せっかく家族が作っているということもあったので、そちらを使用しています。

鈴木氏の御父上が作られている、石垣島産のバタフライピー。銚子灯台コーラ用に最適化されており、一般に販売されているバタフライピーと少し違うという。

――理想的な色を出すのに結構ご苦労されたと伺っております

佐久間:空を表現した青いソーダの部分と、地層を表現した茶色のシロップの部分。これらを混ぜ合わせると少し赤くなるような状態になることを目指ました。しかしこれがなかなか上手くいかなくて、最終的にはシロップ側にライムやレモンを入れることにより改善しました。あとはシロップにソーダを注ぐ際にどうしても混ざって液色が変わってしまう部分が生じてしまうため、それをどう解決するかに関しても結構皆さん苦労していました。

鈴木:やはり一番苦労したのは、このコーラの特徴である「銚子の空の色」を引き出すことですね。先にお話しした通り、青色のソーダの部分にはバタフライピーという天然のハーブの色素を炭酸に溶け込ませて使っているため、着色料などは一切使っていません。そしてそれをシロップと混ぜることによって、青空から朝焼けのピンクっぽい感じに変化する銚子の空を表現しています。

 しかし、変化させるということが凄く難しくて、最初開発の段階では上手くいってたものが、材料の量は変えていないのに色が変化したりしなかったりしたんです。それがどういう理由なのか、最初の頃は全く解らなくて、すごく不安定だったんですね。

ソーダとシロップの部分を混ぜ合わせた銚子灯台コーラ。淡いピンク色は陽の光にかざすとより美しく映える。

――現在はオープニングセレモニーの時よりも全体的に色合いが淡く、安定しているように感じます。

鈴木:研究の結果、作る工程に改善のポイントがあることを発見し、現在は安定しています。オープニングセレモニーの時っていうのは、まさに試行錯誤の最中で、当時振る舞われた銚子灯台コーラはバタフライピーの量が多かったので、今のものからすると大分濃かったと思います。そうやって改良を重ねていった結果が、現在の安定した銚子灯台コーラなのです。

――バタフライピーと同様に、銚子産の「醤(ひしお)」が使われいることも大きな特徴だと思いますが、こちらの材料を使おうと思った理由は何ですか?

佐久間:やはり「銚子」の冠がつくコーラなので銚子らしさを出したかったですし、地域の皆さんにも親しんで頂きたいということで、できるだけ地域の素材を入れたいと思いました。また、コーラに少し塩味を加えたいという想いもありました。

鈴木: 実は銚子の方々も、ひしおを食べたり料理に使っているかといえば、そんなことはないんですね。今はやはり便利な液体の醤油が存在しますから。そのため銚子灯台コーラにひしおが入っていれば、地元の方々も地域の良いところを再発見する良いきっかけになるのではないか、そう思いました。

 そのひしおを現在でも作られているお店が「銚子山十」さんで、400年近くも歴史があるんですよ。銚子灯台コーラにはそちらのひしおを使用しています。銚子は醤油と魚の町ですが、いくらなんでも魚を入れるわけにはいかなかったので笑。「じゃあ醤油」って一瞬思ったんですけれど、やはり醤油の原型になったひしおを一回入れて作ってみようよって話し合ったことが、最初のきっかけなんです。

  「醤油よりひしお」という意見は開発メンバーの中ですぐに一致したため、早速ひしおを入れたものを試作してみました。結果としては醤油感は出ていないのですが、入れない時とのコクの違いというか土台がしっかりしたというか、味の深みが全然違うよねっていう意見も一致しました。やはり塩味を入れる分、甘みがより引き立ったのだと思います。

ハーブガーデン・ポケットでは食事も可能で、画像は「満月オムライス」のサラダセット。ふわとろの卵には色々なハーブがまぶされており非常に美味。

「コーラ」に関する様々な考え

――銚子灯台コーラに込められた想いや、どんな場面で飲んで欲しいかなどのお考えがあればお聞かせください。

佐久間:銚子にお住いの方々にも勿論ですけれど、銚子にいらっしゃった方々に「来て良かったな」と思ってもらえたら嬉しいですね。特にここ犬吠埼は関東最東端の岬なので、このような珍しいシチュエーションでコーラやビールを飲んだという経験がその方の印象に強く残って、銚子とその方を結びつけるきっかけになって欲しいと願っています。

鈴木:10代から30代くらいまでの、言い換えれば銚子が不得意とする層なんですけれど、そういった方々に飲んで頂きたいですね。あとはコーラを飲まなくなってしまった方や、コーラを飲んだ事がないヴィーガンの方たちにも安心して飲んで頂きたいです。場面としては、家族、恋人、友人など、その人にとって大切な人と一緒に、できれば君ヶ浜から犬吠埼を見ながら飲んでもらえたら最高だなと思います。

 また、今銚子が抱えている一番大きな課題が人口の流出なんですね。他の地方もそうだと思いますが、若い層がどんどん銚子から出て行っちゃうということが、僕たちとしてもショックなのです。とはいえ、僕も佐久間さんも実は出戻り組なのですが、一旦は出ていったとしても最終的には地元に戻ってきて欲しいという強い願いがあります。

 銚子を離れてしまった方々が銚子に改めて興味を持ってもらうきっかけとして、銚子灯台コーラが存在できればと思っています。銚子を離れた人たちがこのコーラを見ることによって、小さい頃見た犬吠埼の情景をもう一度思い返してもらいたい。そして戻るきっかけとなってくれれば、これほど嬉しいことはありません。

ハーブガーデン・ポケットの店内の様子


――クラフトコーラにはコーラの語源である「コーラナッツ」を使用するメーカーさんも多いですが、銚子灯台コーラで使われたなかった理由があれば教えてください。

鈴木:大きな理由としてやはり色の変化ですね。おそらくコーラナッツを入れてしまうと、僕らのイメージしている色の変化に繋がらないと思っています。コーラナッツを入れなかったらコーラじゃないよって誰かに言われてしまうのであれば、勿論おいおい考えますけれど笑。今の段階では入れる必要もないと思っていますし、コカ・コーラさんをはじめ大手のコーラメーカーさんも使用されていないので、現状はこのままで良いと考えています。

佐久間:一回使ってはみたんですが、使った時と使わない時であんまり味の差がなかったというのも、使用しない理由の一つですね。自分たちの目指す味に、コーラナッツはマストではないと考えました。コーラナッツ自体の入手もなかなか難しいですし、無理をしてまで入れる必要は無いと思っています。

――それでは、コーラが「コーラ」であるために、必要な要素というのは何だと思いますか?

佐久間:難しいですね。例えばジンジャーエールは、生姜と糖類とスパイス類を入れていますが、 コーラの場合は「これが入ってなきゃいけない」と思えるような、決め手になるような材料はありませんよね。他のクラフトコーラメーカーさんも、多種多様なスパイスをブレンドされていると思うんですけれど、私たちも「コーラを作ろう」という目標に対して、皆が記憶している「コーラの味」というものに試行錯誤しながら近づけていきました。

鈴木:僕も答えに迷うところなんですけれど、コーラのイメージってカジュアルなドリンクの代表的なものだと思っているんですね。カジュアルで人を笑顔にさせる飲み物。最近だとエナジードリンクもそうだとは思いますが、そういった格式張らないところは、確かにコーラを形成するうえでの一つの要素ではないかと思っています。


――コカ・コーラやペプシコーラといった、大手の飲料メーカーが販売するコーラは良く飲まれますか?

佐久間:子供の頃は飲んでいましたが、大人になるに従って糖分も多いということもあって、嫌いではないですけれど飲む機会は減ってしまいましたね。

鈴木:僕はコカ・コーラ大好きですね。ピザを食べる時は必ずコカ・コーラって決めてます笑

――銚子灯台コーラの登場で、ピザのお供はコカ・コーラから銚子灯台コーラにはなりませんでしたか?

鈴木:そこはならなかったですね。やはり自分の中でピザに合うのはコカ・コーラというイメージがあるのかもしれませんが、そこは変わりませんでした笑

ハーブガーデンポケットのテラス席。食事をしながら広い庭園を見渡すことができる。

――今のクラフトコーラ業界に関して抱いているイメージをお聞かせください。

 佐久間:クラフトコーラをやっていらっしゃる方たちって若い方々が多く、業界全体がフレッシュな印象を受けます。あと地域課題を解決しようと熱心に活動されている方も多いですよね。この前も瀬戸内三豊コーラさんを見学させて頂いたのですが、地域のことをとても真剣に考えられていました。そういったチャレンジは私も応援したいですし、多くの刺激も貰えます。そういった存在として私はクラフトコーラ業界を見ていますね。

鈴木:今まさにクラフトコーラの流行が来てるのかな、という気はします。ただ、これが流行りで終わってはいけないと思います。これから先、何十年経ってもクラフトコーラを皆さんが愛してくれるように、業界全体で盛り上げていかなければならないと思っています。

 これまでコーラは「体に悪いもの」とされてきましたが、クラフトコーラの登場によってそういった考えが変わっていくと嬉しいですね。そうしたイメージを払拭しようと、これまでとは違ったコーラの在り方を表現しようとしている方々が非常に多いように感じます。僕も全国から様々なクラフトコーラを取り寄せては、飲み比べをしていますよ。

銚子灯台コーラの将来について

――先日、銚子灯台コーラがRTD化を目指されていると知りました。現在の課題などは御座いますか?

 佐久間:清涼飲料水の製造免許を取得するハードルが高いですね。他の会社に製造を委託することも考えたのですが、やはり自分たちで作りたいという想いがあります。ビールの醸造所は瓶詰の設備もあり月に三回位しか稼働していないため、合間でコーラが作れればと思ったのです。

 去年保健所の方と話し合った時には、お酒を製造するラインとコーラを製造するラインは絶対に別けなければ駄目だということでしたが、今年の四月に法改正があった影響で、現在の設備でもできる可能性が見えてきました。現在、改めて保健所と方と調整を行っています。

鈴木:僕たちが去年の6月にリリースした時から、瓶売りするか否かというところから話し合いを始めました。「銚子灯台コーラは銚子に来ないと飲めない」ということにした方が、銚子のためにもなるんじゃないかと思ったんですね。最終的には、最初の1、2年はお店ベースで販売して、草の根運動じゃないですけれど知名度を上げていき、第2段階として瓶売りをしましょうという話になりました。

 順調に行けば今年あたりに瓶売りもできればと思っていたのですが、今年は難しそうですね。清涼飲料水の製造許可に関して、僕らは厨房の一部を清涼飲料水用に整備すれば下りるものだと思っていたのですが、そういうわけにはいかないようです。専用の建物というか、加工場を用意しないといけないということが判明しました。

 佐久間さんは「うちの醸造所を使っていいですよ」と仰ってくださっています。醸造所もずっとフル稼働をしているわけではないようなので、稼働していない日にコーラを作ることができたら、僕らとしてもベストだなと思っていました。やはり灯台のすぐ傍ですし、醸造所はガラス張りなので中で作っている様子も外から見ることができます。

 イメージとしてはぴったりだな、と思っていたのですが、保健所からはあのスペースでは難しいですよって言われてしまったんですね。ただ、今年四月に法の改正があってハードルが少し下がったらしく、今の段階だと醸造所でもできなくはないということになりました。そのため来年を目処に発売できたらなあ、という形で準備をしているところです。

――私も一番気になっているのですが、銚子灯台コーラのあの二色の色合いを、RTD飲料でどう再現しようと考えているのですか?

佐久間:それは私たちも非常に悩んでいる部分です。シロップの方が重いので、充填の段階で二層にすることはできると思います。しかしそれでは購入された方が家に持って帰るまでに混ざってしまうので、現実的ではないですよね。そのためシロップと青いソーダを別々で売るということも考えています。

――シロップでの販売も視野に入れられてるのですね。

鈴木:そうですね。佐久間さんのおっしゃる通り、各店舗に届ける間に多分混ざっちゃうと思うんですよね。僕らとしてはやはり、あの青と茶色の二層で提供して、お客様がかき混ぜるというワンアクションをして頂いて色の変化を楽しんで貰うことがベストだと思っています。だからどこで妥協をするのかを含めて、アイディア出し合っている最中です。

 もし炭酸とシロップを別売りする場合は、例えば瓶ラムネのビー玉ではないですけれど、何かワンアクションすることによって混ざるような工夫ができるかですね。今のところそこが固まっていないため。製造許可がとれたとしても今年中に製造まで行くのは難しいと思います。方向性が決まらないと、製造にどういう機材が必要かも決まらないですからね。

(※インタビューした後日に続報を頂いたため追記)
 実はつい最近なんですが、RTDではなくシロップで販売する方向でかたまってきました。それは「シロップを購入された方もお家で青いコーラで飲めて、しかも色の変化も楽しめる」という秘策を思いついたからです!

ハーブガーデン・ポケットのレジの上に飾られている、銚子灯台コーラの看板(欲しい)。

――銚子灯台コーラは、将来どのように成長して欲しいとお考えですか?

鈴木:銚子灯台コーラの根底のコンセプトにあるのは、やはり100年後の銚子のために貢献したいという願いです。そのため、一杯売れるごとに1%なんですけれど、銚子市を良くするために活動されている団体さんに寄付をしています。こういうことを、今後も長く続けていければいいなと考えています。

 将来的には、先にお話しした人口流出問題を解決する仕掛けのひとつになってくれていると良いなと思っています。この問題を解決するのは非常に難しいですが、100年という長いスパンで考えた時、「昔は一時あんなことがあったけれど、あの時に銚子の人々が色々頑張ったおかげでまた昔のような活気が戻ってきた」と思われるような、そんな要因のひとつになれたら非常に嬉しく思います。

佐久間:例えばコカ・コーラは100年以上続くブランドじゃないですか。勿論創設者や立ち上げ初期の人々はもうとっくにいらっしゃらないわけですが、愛してくれる人々が存在すれば、ブランドはずっと残っていくわけです。そういった、皆さんが誇りに思って継承されるようなブランドとして、銚子灯台コーラもきちんとローカライズできたら一番いいなと思ってます。

 口火を切ったのは私たちかもしれませんが、それを次世代へと渡していき、その時代に合わせた形で地域を支え、少しでも銚子を豊かにするような産業としていつまでも残っていって欲しいと願っています。今は私たちがそのバトンを持っていますが、いつかは銚子灯台コーラを誰かに継承しなければならない日が必ずやって来ます。熱意もって銚子灯台コーラをやりたいと希望する若い人が現れれば、その人に譲って次の時代に繋いでもらう形でも全然構わない、そう思っています。

【銚子灯台コーラ リンク】
Instagram : https://www.instagram.com/choshi_todai_cola/

株式会社浜鈴総芸 リンク】
HP : http://hamasuzu.net/
Instagram : https://www.instagram.com/herbgarden_pocket/

【チョウシ・チアーズ株式会社 リンク】
HP : https://www.choshicheers.com/
Instagram : https://www.instagram.com/choshibeer/



※銚子灯台コーラのロゴや鈴木氏、佐久間氏の画像につきましては、全て許可を頂いて掲載しております。他、特に断りが無い限り、画像はすべて筆者が撮影したものです。

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